『可愛い』の呪い
私は食べることが好きだった。美味しいものが好きだった。美味しいもののためなら家を出て電車に長い間揺られながら移動することも苦にならない。ストレス発散の方法は専ら食べることだ。これは10年前から、中学生の時から変わっていない。
私にはもうひとつ、中学生の時から変わっていないことがある。それは「『可愛く』なりたい」という願いだ。
可愛くなりたい。街中で見かける綺麗でオシャレな『女の子』にずっとなりたかった。
ストレス発散の方法が食べることである私の体型は当然といえば当然だが平均体重、推奨体重とは程遠く、また綺麗や可愛いとは程遠いものになっている。
食べれば太り、太ることがストレスで食べる。また太ることがストレスで食べる。
永遠にこれを繰り返す。
今日も過食をしてしまい、あぁまたやってしまったと反省していた時、猛烈な吐き気がした。
結果、食べたものを吐いてしまった。
これでこういうことを繰り返すのは5回目で、食材に申し訳なく、自分で情けなくなる。
もう食べることが苦しい。食に魅力を感じない。