あやかちゃん(仮名)

こんな名前ではなかった気がするが、私が一瞬だけ関わった眩しい女の子の話を書こうと思った。

 

あまり思い出したくはないが、私は大学生の時特定の職を目指していた。同じ職業を目指すコミュニティで私はあやかちゃんと出会った。

 

あやかちゃんは明るくて、優しくて、色んな人に気を遣えて、おしゃれで、周りに友達がいっぱいいて、コスメとかディズニーが好きで、常に彼氏がいる。そんな理想の女の子だった。

 

私が風邪をひいて授業を休んだ日、あやかちゃんはレジュメをとってくれた。そのレジュメの右上には女子特有の丸文字で私のあだ名+🙂みたいな感じで名前が書かれていたのが印象的だった。

 

そんなあやかちゃんがどうしてこの職を目指そうと思ったのか。なんとなく気になって聞いた。

「私のお兄ちゃんが本当にしんどい時、この職業の人に助けて貰った。このままならお兄ちゃんは死んでいたから、家族みんな感謝してる。だから私はこの職業になりたい。」

 

正直無理だと思った。

キラキラしてる女の子と同じ職を目指しているが、私がこの職業を目指していた理由はこんなに前向きではなく、恨み満載の後ろ向きの理由だった。

 

そんなやつが将来試験を受けて、当然面接もあって、どちらを採りたいと思うか。答えは明白だった。

 

その日、私はコミュニティの証明書を捨てた。